FF8のリメイクという話はどうなったんだっけ?
と検索していたら、某巨大掲示板のDQやFFのモンスター名の由来を考えるスレッドをまとめたサイト「QUARK」のグリーヴァの項を見つけました。
グリーヴァ。
それはスコールがまとい、もっとも強い者としてこいねがう伝説上の存在、ライオンです。
その姿かたちから、私もてっきり伝説上の怪物「グリフォン」から来ているのだとばかり思っていたのですが、そのスレッドではGrieverから来ているのでは?という意見が掲載されていました。
GrieverはGriefから来ている言葉であり、英辞郎によると「嘆き悲しむ人、嘆き悲しませる人」と出てきます。
さらに、そこには「嘆きの獅子」について言及されていました(詳しいことは先様のサイトでごらんあれ)。
おお、こいつぁすごい。
というわけで妄想的へりくつ考察開始。
まずは嘆きの獅子の解説。
フランス革命時ブルボン王朝を守っていた786人もの勇敢な傭兵がチュイルリー宮殿の王家を守り、全滅しました。
傭兵たちをたたえた碑がこの「瀕死のライオン」像です。彼らはスイス・ルツェルン出身だったそうで、実際ルツェルンの氷河公園内にあります。一度見たことがありますが、本当に悲しそうなライオンですよ。
スイスはもともと小国、しかも山がちで豊かとは言えない国だったので、傭兵が重要な産業だったのですね。
ここらへんは決して軍国主義ではないけれどガーデンを中心として繁栄する町バラムと類似しているかな。
スイスは永世中立という考え方からも、軍事に対して無関係でいられる国ではないでしょう。もともと「支配されたくない」という独立不羈の精神が根強くある国なのではないでしょうか。
建国の由来→リュトリの誓い
それで傭兵という産業を思いついたのかな。お金にもなるし、いざ母国の危機のときには自分の力が防御に役立ちますし。
あ、ここらへんテキトーなので、さらっと流してくださいよっ。スイス通に怒られるかも!
スイスの傭兵はかつて勇敢かつ雇い主に忠実であることで名を馳せていました(そうじゃないと、信用なくして国がやっていけなかっただろうけどさ……)。
その栄誉で、今でもバチカン市国の警備は「スイスガード」と呼ばれる人びとが担っています。
どこかで聞いた様な蘊蓄終わり。
では、この「瀕死のライオン」とFF8の共通点を考えてみましょう。
第一は「傭兵」。これはごくごくストレート。
第二は「全滅」です。
どこで全滅してるのかー?と反問されてしまいそうですが、アルティミシアは時間圧縮を行いました。
このことから未来においてSeeDは彼女を止めることが出来ないまま全滅してしまったと考えるのは自然なことでしょう。
実際、未来のSeeDの屍を我々は見ることが出来ます。
さて、スコールですが、彼は「Sleeping Lion Heart」をシンボルとして与えられ、それは時に彼の形容ともなっています。
「眠れる獅子の心」を素直に解釈すれば、「オズの魔法使い」の臆病ライオンと同じ。
心を閉じて臆病だったけれど、「獅子の心」つまり誇り高さ、勇気を数々の冒険の中でそれを目覚めさせていくのが彼の成長であると見なすことが出来ます。王道的な考え方ですね。
しかし、グリーヴァ=Griever説を考えると、また違った視点からこの「Sleeping Lion Heart」を解釈することが出来ます。
彼のライオン「グリーヴァ」とは、嘆き悲しむ者である瀕死のライオンとしての名であるとすれば。
スコール(あるいはプレイヤー)は、ゲームが終わるまではその(嘆きの)獅子の心を「眠らせておく」ことを望まれたのではないでしょうか。
ゲーム中に我に返るな、というメッセージが「Sleeping Lion Heart」に込められている。でなければ、(かりそめにも)ハッピーエンドになりませんから。
スコールは始原のSeeDであり、かつ最終目標であるアルティミシアを倒す伝説のSeeDです。
これは、「スコールを超えるSeeDは以後、生まれなかった、あるいはアルティミシア出現時にはスコールに匹敵するSeeDはいなかった」ことを意味しています。
未来は「始原にして最高のSeeD」である過去の存在、スコールに頼らざるを得なかった。
彼は気づくでしょう。いつか未来において、SeeDは全滅する事実を。
スコールは最初こそ「他人に干渉されたくない」とばかりに壁を作っていますが、それは単に他人に興味がないという意味ではなく、別れのつらさを味わうくらいなら一人のほうがいい、という理由によるものです。
確かにそれは幼い考え方ですが、本質的に彼は非常に仲間思いの情の深い人間であるといえます。
したがって、仲間として受け入れてしまったからには捨てることなど彼には不可能です。
だから指揮官としても苦労人としても(笑)向いているのでしょう。それが傭兵として向いているのか不向きなのかは微妙なことですが……仲間たちを生きて帰らせる、という点では非常に優秀な指揮官です。(またKHの中では明解ですが、彼は非常に面倒見のよい人物。)
そのように情の深い人間が、自ら撒いた種(彼はSeeDを作るきっかけとなった)で未来のSeeDたちが死ぬことになると気づいたなら。それがたとえ遠い未来であっても。
あるいは、「明示されない物語」で述べたことが事実であるならば。
(追記:さらに、彼は恐らく、世界の終焉を意識させられる立場にもなります。これについてはいずれ。)
彼は嘆き悲しむ者=Grieverになるでしょう。
それゆえに「Sleeping Lion Heart」、嘆きの獅子の心を眠らせておけ。
アルティミシアによって最後にグリーヴァが召喚されるのは「目覚めよ」という合図なのかもしれません。
彼の最高の武器「ライオンハート」の必殺技、フィニッシュブローは「エンド・オブ・ハート」です。心の終わり、とはどういう意味なんだろう、きっと適当だろうと思っていましたが(笑)、なんだか分かってきたような気がします。
深い深い嘆きの中で、心が終わりを告げる。身を切られるような、最後の痛みの中での攻撃。
そんなことを意味していたのかも知れません。
などと言うと、FF8をそこまで悲劇にしたいのか、とツッコミを受けそうだ。
でも、ゲームが終わっても「……意外になんにも解決してないんじゃ?」と思ったのは私だけではないはず。
それに、二重構造の物語のほうが面白いでしょ?
作り手のほうは(FF7に対して明るい話を作ろうとしたとしても)悲劇を作りたかったんじゃないかな。それで、悲しいけれどカタルシスのあるFF10を作った、と。
*なお、スレッドによるとGrieverについては「死への恐怖」「存在消滅への恐怖」というように解釈されている方もいます。こちらのほうが自然な解釈だと思います~。
と、ここまで読んでしまった人にとっては身も蓋もない結論になって済みません(汗)。
一種の遊技ということでお許しを。