FF8が好きな理由1:明示されない物語

ファイナルファンタジーVIII

ここから先は必ずクリアしてから読んでくださいねー。

傑作とは言えないけれど好きなゲーム、それがFF8です。
ベイグラントストーリーやFF10の「完成された」ゲームとは違い、未完成っぽさが漂う「原石」のようなゲーム。

トークは明らかにFF7のほうが多いですが、時期的なものや、FF8のトークをするとこのサイトのカラーに合わないほど真面目な話になってしまうこと、FF8は個人的に封印しているという理由です。今後もFF8についてはファンフィクションは書きませんし以前のものも掲載しません。
でも、FF8への愛を訴えるくらいは許してもらえるかな。

FF8、実はものすごい怖いシナリオなんじゃないかとずーっと思っていました。
今でも思っています。
さらっとプレイしてしまうと「学園物で主人公たちがラブラブになってよかったね」で終わってしまうんですが、よく見ると穴だらけのシナリオなんです。

穴とはいっても、それが「すかっ」と抜けている穴じゃなくて、目をこらしたらうっすらと蜘蛛の巣のような網が張ってあったりする。(本物の穴であることもありそうだけど)
だいたい、主人公スコールの父親もしっかりとは明示されません。あそこまで分かっているというのに、決して言葉として明示されないのです。ゲームプレイ中に、「母親似でよかったな」といわれるだけ。(なお、レインの話をしてくれよーと何度も父親に突撃していたのは私です(笑)。)
例が一つだけなのであまり説得力はありませんが、FF8とは「明示されない物語」である可能性があります。シナリオをきちんと構築していない部分もあるにせよ、ある程度までは狙っていたのではないかな。
この穴を埋めていく作業が楽しめるかどうかでFF8のシナリオは大いに評価が変わるのではないでしょうか。

FF7にもそれなりに謎はありますが、恐らく、「全てをひっくり返すほどの穴」はありません。FF7は世界を巻き込んだ私闘という意見をどこかで読みましたが、クラウドが一個の人格を確立するために超えるべき存在としてセフィロスがいた、という割合明快な図式が見られます。
普通の物語であれば、FF10のティーダとジェクトの関係のように、コピーとしての子が父を超えることによってオリジナルとなる、という図式になっているでしょうが、クラウドには父親がいません。したがってコピーというあからさまなたとえを使い、父親の役割の代用としてのセフィロスを設定しているのではないかと。
ま、どっちにせよ、「一個の自我を確立するための物語」なのですよね。で、彼らは見事オリジナルとなったと。

でも、FF8は戦う相手は「魔女」。
自分のオリジナルである父親あるいは母親ですらありません。
ここからしてFF7やFF10とはゲームの図式が変わってきます。
では魔女とは何者なのか。ハインなる存在の力を継承したもの、力がある間は死ねない、といったような存在である以外は特に情報はありません。
曲目になっている、「FITHOS LUSEC WECOS VINOSEC」
これはアナグラムで、並べ替えると「魔女の愛の継承」になるそうです。(これ気づいた人すげぇ~)

アルティミシア最終形態の音楽、「The Extreme」はこのアナグラムを歌うことから始まります。

魔女は継承されていく。そして愛も。
魔女はともかく、なぜ「愛」を継承するとまでいうのか?
さらに、魔女には騎士が必要だと執拗に提示されるのか?

恐らく、主人公スコールが戦う最終的な相手は、「愛」を持つ者。愛する者。

……リノア。未来のアルティミシア。

気づいたとき、「うわーなんてシナリオだーーー!」と仰天しました。
学生時代、「魔女っていったいなんだろなー」とアホ妄想を繰り広げながら歩いていて、ちょうど米屋の隣を通り過ぎたときに思いついたんですよ。なんで米屋かは未だにワケ分かりませんが。
思わずネタにして二次創作しちゃいました。(公開はしません……(笑)が、今まで手がけた二次創作の中で個人的にもっとも気に入っているものでした。「時の円環」、ごらんになった方もおられるかも。現在公開しています。FanFicにおいでください。)

(でも私一人のオリジナルの考えというわけではなく、アルティミシア=リノア説を訴える方は他にもいらっしゃいます。リンク先のサイトはさらに深い考察をされているので、興味ある方は是非!)

しかもこの仮説、恐ろしいことに矛盾しない。
アルティマニアを見てみても、「何世代も先の魔女」とアルティミシアは表現されているだけで(セルフィの台詞で)、「何代も先の魔女」とは書かれていません。
何代も先、であればリノアはアルティミシアではないのですが、「何世代」という表現によって、単に「長い長い間」という解釈が可能になります。
長い長い間。
何世代も。
それは一見不可能そうなんですが、「魔女の力を持ったままだと死ねない」というイデアの言葉があります。
誰かに魔女の力を押しつけなければずーっと死ねない。リノアは、はたして誰かに悲劇を押しつけることが出来るでしょうか?

おそらくはずっと耐えて。
スコールも、友達も、(もしかしたら自分の子供たちも)死んだ後でさえ。
スコールが自分を殺しに来るのをひたすら待っている。(オープニングで、「待っている」という意味深な言葉が表示されます。)

最後、アルティミシアは「覚えているかい、子供時代のことを」と記憶に関する台詞を口にしますが、途中で途切れてしまいます。

子供時代の恋(まさに何も知らなかった頃のスコールとリノアの幼い、でも綺麗な恋)を覚えていてほしい、ということだったのか。
子供時代の恋(=しがらみ)などすっぱり忘れて、罪悪感を感じなくてもよい、ということだったのか。
それとも、自ら思い出せない「子供時代」のことを自嘲しているのか。
スコールとリノアを「子供」というにはいささか育ちすぎているかもしれませんが、そもそも最初の壮大な曲のタイトルは「運命の子供たち」であり、恐らくはスコールとリノアの事を謳っているのです。

追記:アルティミシアが伝説のSeedの存在をなぜ知っていたのか、という疑問があるようですが、これは割合簡単に説明がつくと思います。
みんながその名と行為を語り継いでいるからこそ「伝説」になったのですから、その知識はその世界ではごく常識的なものなのでは?

エンディングのムービーも、リノアの顔とアルティミシアの顔、一瞬重なるんだそうですね? 私はいくら見ても見つからないんですけど…。
もしその話が本当であるなら、ますます信憑性が高くなります。

というわけで、ハッピーエンドが一転、壮大な悲劇へ。

す、すごくないすか、FF8?
え、ただの妄想ですって?確かにその可能性は大ですが……。

どちらにせよ、FF8は他のゲームに比べて多弁のようでいて大事なことに口を噤む、そんなシナリオになっているように思います。
「シナリオは明示されていないんだよ、自分で考えてね」というヒントをきちんと組み込んでおけば、あるいはもっとうまく謎へ誘導出来たならば、すさまじいゲームになっていたんじゃないかなぁ。
そうしなくちゃ、謎が謎として認識してもらえませんよう(泣)。

だから、正直言うとFF7よりもFF8のほうがリメイク希望。
単に好きだからというだけではなくて、FF7とは次元が違うほどシナリオの謎が多いので、せめて「謎が定義出来るくらい」にきちんとシナリオを再構築してリメイク。

見果てぬ夢ですけどね。

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