仮面の正体(ミステリファン必見!)

時は九月、場所は札幌すすきの。
青星は「ドラゴンフライ」という本を求めながら、とぼとぼと投宿先へと歩いていた。
しかし、時刻は既に九時を回り、大きな本屋はもちろん閉店している。
華やかなネオン咲き誇る夜の街、たった一軒、小さな古本屋がじみ≠ノ開いていた。

物は試しとばかりに飛び込んでみると、なかなかどうして、宝の山。
読むとダメージが大きいので今まで買わなかった(でも文体がめちゃくちゃ好きな)ルナールの「にんじん」を200円で見つけ、ドラゴンフライはどこへやら。他にもいかにも古本屋(私の中でBookOffは「いかにも古本屋」ではない)の雰囲気で嬉しくなりつつ、なかなか古そうなミステリがそろっている本棚に振り向いた。

「あ! 幻影城がある=I うひょー!」(以下クリックで拡大)

「初版だー。すごいなー! ……え?」

ぎゃー!!!!(絶叫)」

「偶然手にとっただけのものに、サインがあるとは……」
と、同じ方面のホテルに向かっていた先輩は絶句。
「探して見つけるんじゃなくて……!!」
青星の強運に驚くばかり。

本が私を呼んでいるんですよ!

はい、シグマをクリアされた方にはおわかりですね。
仮面の名の由来、江戸/川乱/歩のサインでございます。(言うまでもないが、仮面は怪人二十面相へのオマージュでしょう)

次の日はもちろん仕事中にも持ち歩いて、知り合いすべてに見せて回ったのは言うまでもありません。

ただし、大きな問題があります。
これって本物?

追記:ドラゴンフライはまだ未入手(涙)。

追記2:続・幻影城の中身は、まだアガサ・クリスティが存命だったり、ディクスン・カーを絶賛していたり。またこの乱/歩という人、非常に推理小説の世界においてバランス感覚の優れた人だったんだろうなあと思わせる論争のやりとり、自分の著作を切って捨てる潔さ、など、非常に興味深く本当に面白いです。まだ「ミステリ通」というほど読み込んでいないので、一部はとっておいているんですが……。

その書店、他にも安部公房がかなりよくそろっていまして、さらに小栗虫太郎の何かの初版が非常に美本で売られていたり(18000円だけどな)、ひろいもののお店でした。すすきので小さな古本屋を見つけたら、あなたも入ってみたらいかが?

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.