ジャンルはアドベンチャーだそうです。アドベンチャーっていうか、私としてはインタラクティブ性のある漫画、という感じがしましたが。
この手のゲームはあまり得意ではない……と思います。
基本的には「ちまちまもんやってられっか」タイプの人間としては、地道に証拠を集めていくのが面倒なのですよ(笑)。勝手に今まで読んできた物語のパタンからどんどん先読みしようとしてしまう。
だいたい、自分の場合、ミステリを読むときは事件が起きる前に「あ、こいつ怪しいぞ、犯人だ!」と思うと大抵当たっているのです。逆に、事件が起こってからだと作家のミスリーディングにまんまとはまってしまい、なかなか犯人が当てられないのですが(笑)。
とはいえ、あんまりミステリ読んでません。日本のミステリより海外のミステリのほうが好きで、コリン・デクスターが好きでウィングフィールドがそこそこ好き。ルパンよりホームズ派。ルパン三世よりとっつぁん。
しかしなんといっても私にとって最高のミステリは、現在の愛読書ベストスリーに入る「薔薇の名前〈上〉 薔薇の名前〈下〉」。もう大好き。すごい好きで、一時期周囲の人間にすすめまくって迷惑かけました。それでも一人に布教成功したのでいっか。
薔薇の名前のミステリ的内容部分は「アフリカの果てには、南極ではなく”なんばグランド花月”があった」というもの。(はしょりすぎ)偉大なり吉本。
日本のミステリだったら宮部みゆきならそこそこ読んでいる、といったところでしょうか。好きな作家というよりうまい作家として尊敬。
「ステップファザー・ステップ」と「サボテンの花」は個人的に大好きな話で、「火車」は大傑作だと思います。直木賞取った「理由」も面白いですが、それより遙かに面白いです。
新本格は「面白いとは思うけど、私の求めるものではない」。
京極、島田荘司、麻耶雄嵩、綾辻あたりはちょこっと読んでいますが、いつもそんな印象を受けます。あ、山口雅也はまだ二冊しか読んでいませんが、はまる要素持っているかも。
閑話休題。
一度だけアドベンチャーゲーム?かどうか分かりませんが、この手のゲームでは「かまいたちの夜」をプレイしたことがあります。最初は面倒になって殺されて、二回目プレイは最初の質疑応答みたいなところで「犯人はお前だー!」とやったら証拠がたりなすぎてダメ、というのでさっさとやめてしまいました。(ちなみに二回目プレイはちゃんと真犯人を当てていたもよう(笑))
さて「ウィッシュルーム」。
元刑事、今は自分が撃つ羽目になった親友の元刑事(警察を裏切った)を探すセールスマンのカイル・ハイドがある安ホテルで過ごした一日の物語です。
そこの宿泊客にかくされた秘密が、次第にまとまって、最後には……。
ホテルの中では大きな事件は起きません。死体も出てきません。
最初のほうは面倒。
なかなか話が始まらない感じがするし、歩いているうちに何をすべきか忘れてしまう(笑)。メモを取る機能があるんですが、取ったメモを後で読み返すとぜんぜん役に立っていなかったなぁ。
それに最初から、「偶然にしては都合が良すぎるだろ……」な設定で、かなり引いた目線でプレイしていました。
音楽もレトロといえばレトロなんですが、えんえんと同じような曲を聴かされると「退屈だー今度は何を調べりゃいいのさー」と段々飽きてくる始末。
さらに、カイルが宿泊客を追いつめる(?)ときに、おばかというか、質問として提示される内容が、「もう質問なんかしなくたって分かるでしょ、悟れるでしょ」というものがかなりあるので、イライラしてくる。
ほんとこの手のゲームは向いていないんだなあとその時思っていました。
ただし、話が進むにつれ、キャラクターにも興味がわいてきます。
主人公のカイルがハードボイルドな口調のクールな振りしてかなりのヘタレ。
33歳のおっさんをつかまえて言うのもなんですが、可愛いのだ。ヘタレたときの表情や、ものを食べるときの本当にうまそうな表情とか、なんか憎めないキャラ。
ゲームオーバーの種類によってはヘタレな表情を浮かべた後、「一晩中部屋から出てこなかった」というすねっぷり(笑)。
何でも某掲示板では主人公人気により早速スレッドがたったとか。
内容も、設定の都合良さもだんだん(あまり)気にならなくなり、なかなか求心力のあるものになってきます。ドラマのつかみは悪いのですが、最後になると止まらない、という物語です。
「パズルピースをタッチペンで動かして完成させる」などミニゲームがいくつかあって、DSの機能をよく活かされています。
それらは基本的にあんまり難しくない……のですが、二回ほど攻略wikiにお世話になりました。一つは「何をするかすっかり忘れてしまった」というのと、もう一つは「パズルが解けない~」というもの。
エンディングでは、ミステリとはいえ、根本的に解決していない印象もあります。しかしすっきりしていて、カタルシスを感じます。みんなちょっぴりずつ、幸せになった感じ。予定調和といえば予定調和ですが。
が!
どうやらマルチエンディングらしく、私はノーマルエンディングでした。もっといいエンディングがあるって……。
最初のうちは「さっさと売り飛ばす」という呪詛を延々と呟きそうになりながらプレイしていましたが、今は「さてもう一周してくるか」という程度に評価が上がりました。
FF12ほどに面白いか、と言われると「好きずきですね、私はやはりFFのほうが好きだけど」と答えるでしょうけれど、穏やかに面白い、という作品です。
DSを持っていて、ちょっと可愛いおっさんを見たくて、ハードボイルドが好きな人に。
*でもミステリが読みたいというのであれば、本のほうがよいですよ……。ミステリとして質が良いかについては疑問が残ります……だってなんだかだいたい分かってしまうから。