*Read first The Reasons why I love FF8
「良い天気ね、キスティス」
「エルオーネ?! いつ来たの?」
「えへへ、…ちょっとね。キスティと話したくて、ラグナロク拝借しちゃった」
「私と? スコールじゃなくて?」
「そう。あなたが適任だと思って」
「平和になったね」
「ええ、SeeDは世界中でモンスター狩りにいそしんでいるけど。GFをアルティミシアに取られちゃったから、魔法を使うのも一苦労」
「キスティも?」
「私はお留守番。教官資格を戻してもらったから、小さい子たちの面倒を見てる。そっちのほうはスコールが飛び回ってる」
「リノアと一緒に?」
「ええ、そう。リノアったら、バラムにすっかり居着いちゃった。
図書館もお気に入りみたいだし、バラムガーデンに対してなら魔女の研究に力を貸すのに異存はないみたいだし」
「そうなの」
「もっとも、スコールが一緒にいるというのが一番の理由ね。彼女の協力で、擬似魔法の技術もジャンクション時にひけをとらないくらいになってきたわ」
「……よかった。きっと、いい思い出をいっぱい作れるね、みんな」
「……エルオーネ?」
「記憶の座に居座る者はもういないの。だから、記憶しておくのよ、キスティ」
「ねえ、どうしてアルティミシアはGFをドローしたんだと思う、キスティ?」
「もちろん、私たちの力を削ぐためじゃない?」
「そうかもしれないわ。でももう一つ。
アルティミシアは覚えておいてもらいたかったのかもしれないわ、あなた達に、彼女のことを」
「どういうこと? アルティミシアが?」
「アルティミシアの正体を考えたこと、ある?」
「……何を言っているの、エルオーネ」
「彼女の孤独を知っている?」
「エルオーネ!」
「彼女の最後の魔法は……スコールに『与えた』魔法は何か覚えてる?」
「エルオーネ!」
GFがいなくなる。記憶を失ってきたSeeDたちは、記憶を失うすべを失う。
覚えていなくてはならない。彼女のことを。
なぜ?
『彼女は愛していたの、あなたたちを。彼女は甘えん坊だもの、覚えていて欲しかったのよ、ずっと、ずっとね。
だって、彼女は……』
「エルオーネ、やめて!」
「……ごめんね、キスティ。でも、知っていて欲しいの」
世界はとうに終わってしまった。
「最後の一人は、最初の種に既に手渡したわ、
「……やめて、どうして聞くのが私でなければならないの?」
「それは、希望だから」
「……やめて。私はそんなに強くないの。虚勢ばっかり張ってる弱い人間なの。その事実を、忘れ去る勇気さえないの」
「だからよ。彼らは残酷な事実を簡単に捨ててしまう、それがどうした、って。
壊れた世界であることを覚えていられるのは、きっとあなただけ」
「そうして、私に重荷を背負わせるの。私に罪の意識を負わせるの!」
「……ごめんね、キスティ」
「許さないわ、エルオーネ、一生許さないから!」
「……慣れてるから、大丈夫」
「そんな風に、笑わないでよエルオーネ」
「キスティはやっぱりやさしいね」
「そんなことない。私は……」
「でも、あなたが記憶していることは、いずれ希望につながる。記憶が継がれていくのならば、遠い未来きっと誰かが気づいてくれる。この壊れた機構の、覆いを取って真実を見せてくれるわ。それを私も、GFを取り去った彼女もきっと望んでる」
「その未来、エルオーネは見たの?」
「さあ」
「ひどい、意地悪ね、エルオーネ」
「昔からそうだったわ、覚えていないの?」
*そして彼女たちは何度この会話を繰り返したのかも、覚えていない。
- ラグナロク
- 「偉大なる神々の運命」→神々のたそがれ(Der Ring des Nibelungen)。(wikipediaより)
- アポカリプス
- アルティミシアからドロー可能。
アポカリュプス「覆いを取る」「隠されていたものが明らかになる」(wikipediaより) - GF
- 「時空(次元?)の彼方へ消えていった……」
「セルフィは本当にGFのこと忘れちゃってるんです、GFのせいで」(アルティマニアインタビューより) - スコル(スコール)
- 北欧神話に出てくる狼、フェンリルの子。太陽をとらえ、日食を生じさせる。人々は鍋を叩いてスコルから太陽を吐き出させる。しかし、ついにスコルが太陽を呑み込んだとき、ラグナロクが訪れる。(wikipediaより)
FF8世界を壊し、死の螺旋から解放するFF10の主人公が、新たに「太陽」と名付けられるのは必然……かも。(しかも逃げ足速そう(笑)) - ハティ
- スコルと同様月を追いかけ続ける。ついに月に追いつき呑み込んでしまい、ラグナロクとなる。意味は「憎むもの」。(wikipediaより)
リノアの本名はリノア・ハーティリーである。