アルティメットヒッツ ファイナルファンタジーVIII
お求めやすくなっています。これからFF8をやってみようと思う方は是非! とにかくこねくり返しながらプレイをオススメします。そうするととんでもなく面白い物語になりますよ、FF8は。
FF8は恐ろしくて哀しい物語だと何度か書いてきましたが、今回で一応の完結に至ります。テーマは「巡る」。
なお、妄想度・論理の飛躍度は他記事に比べ格段に上昇するので、「ついていけないや」と思われたら遠慮なくツッコミどうぞ。
まずは、FF8の時間の流れの仮定。
- スコールらが魔女に関わり合うまでは時間は直線的に流れている。すなわち、過去→未来。
- 時間圧縮により、未来と過去が繋がる。アルティミシアが「伝説のSeeD」を倒そうとしていることを考えると、スコール18歳時とアルティミシアの時代が繋がった。(どうでもいいことですが、最終的に未来の時間が行き着いた先はスコールの幼い頃。スコールが迷って「戻りすぎた」ために、彼とその周囲の人々の未来が運命づけられるのです。)
- エルオーネ自身は時間圧縮不可能。したがって、時間を操ってはいない。つまり時間を扱えたのはジャンクション・マシーン・エルオーネを持つアルティミシアだけ。
- 当たり前だが、アルティミシアをスコールは倒している……。
さて、アルティミシアの名の由来として考えられる候補の一つは「Ultimate」でしょう。究極にして最後。
「世界の最後の一人」でもあります。
時間圧縮をすると、魔女のように強大な力を持っていない限り人間は希薄になり存在出来なくなってしまうと考えられています。つまり、時間圧縮に冒された時代の人間は「消えて」いるでしょうから。
(個人的には時間圧縮以前において既に「最後の一人」だったのではないかと思いますが、名前以外何の確証もありません)
ちょっと横道。
アルティミシアは自らに各世代の魔女の力を集めようとして時間圧縮を行ったというのが公式見解(?)。
成功すれば、「人間の」創造主ハインの力を受け継ぐ者たちの力全てを吸収し、たった一人、世界で立つ存在となります。つまり創造主ハインの純粋な裔、恐らく創造主と同等の力を得られるでしょう。この力をもって、彼女は新世界創造を求めたと考えられます。
自分の属する旧い世界を壊しても、自分の生きうる世界を創造することを。
彼女には騎士がいなかった。彼女は自分の属する世界を憎悪していた。
その場合、スコールなど歯牙にかけずに一気に時間圧縮を行ってしまえば問題がありませんでした。
いくら伝説とはいえ、体は普通の人間であるはずのスコールに、アルティミシアが恐れる必要はないはずです。かの存在は圧縮によって消えてしまうから。
そうしなかったことを考えても、アルティミシアはリノアではないかと思ってしまいます。
閑話休題。
未来において最後の一人であろうアルティミシアが斃れたとなると、その先の未来はどうなるでしょうか?
……何も、存在しません。何も。そこで人間の世界は終わります。
創造主の力はその先の時間には及ばず、いや、創造主不在どころか、時間さえもなくします。
時間は過去に舞い戻り、それは「運命」と名付けられ循環するだけのものになります。循環する限り、発展も後退もなく、ただ繰り返される時間。滅することも出来ず、生むことも出来ず、閉じられた、何一つ可能性のない、袋小路の世界。
スコールが、彼女の目的を推測していたかどうかは分かりません。彼女を倒した結果生じうることを予測出来たかどうかも分かりません。ただし、結果として彼はアルティミシア以降に存在するはずだった未来を潰し、彼女による新世界創造の可能性も潰しました。
彼が世界の終焉を意識させられる立場にある、と前の記事で述べていたのはこのことです。世界の行く末について、彼は気づくのではないでしょうか。彼が世界を終わらせた、と。
もちろん考えようによれば、自分たちが滅亡することを認めなかったスコールは救世主でもあります。時間を循環させることにより、彼らの世界を保持した、彼は世界の運命を創造した、と。
……そこには、開かれる可能性がもう存在しないとしても。
さらに皮肉なことに、彼らの世界はその終焉まで魔女の力から逃れることが出来ません。最後の一人がアルティミシアですから、魔女の力は世界の続く間途切れなかったわけです。
興味深いことに、最後の魔女は、イデアに憑依している際に次の言葉を紡ぎます。
自らの幻想に逃げ込め! 私はその幻想の世界で、お前たちのために舞い続けよう! お前たちと私。ともに創り出す究極のファンタジー。その中では生も死も甘美な夢。
魔女から逃れ得なかった、時間が循環する世界。循環する世界が意識されるならば、生と死の意味を根本から変えてしまいます。
すなわち……「生も死も甘美な夢」。
FF8はこうして世界の可能性を全て閉じ、世界の終焉をにおわせて終わります。この壊れた世界を、どうすれば救済することが出来るのか。夢から目覚めるにはどうすればよいのか?
ここまで来ればおわかりでしょう。
夢を保つための死の螺旋、恐怖によって先に進むことを拒んだ世界を破壊したのは、まさにその夢として生まれた少年です。彼こそが螺旋を打破する存在となりました。
つまりFF10。
恐らく、それが答えです。
余談
書くかどうか迷ったんですが、ここが一番ふさわしいと思われるので覚え書きのようにさらっと。
スコールとリノアはFF10にも象徴的に出演しているのではないでしょうか。螺旋を保ち続けてきたゼイオンとユウナレスカとして。
もしこれがあてはまるなら、ユウナレスカは「リノア=アルティミシア」説の「アルティミシアに化したリノア」と思います。騎士を失っても、世界を破壊しないためには魔女の力を保ったまま生き続けなくてはならず、やがて彼女はアルティミシアに変わっていく。
強大な究極召喚の祈り子=捧げられた贄としてのスコール(騎士=自己犠牲=人柱という発想)と、彼の作り出した「まやかしの平和」を守るために延々と究極召喚を授けてきたリノア。その中心にあるのはSin、すなわち、罪。彼女(リノア=アルティミシア)の罪かあるいは人々の(魔女に対する)憎悪の罪か。
これまた興味深いことに、シンをまとうエボン・ジュはシンボリックなアイコン(いわゆるダニ(笑))として描かれるに過ぎず、人間としてのかたちがないのです。具体的な人格を伴いません。恐らく、エボン・ジュは創造主ハインに置き換えることが出来るでしょう。人間ではなくなりただ一心に召喚し続けるエボン、半身に分けられた創造主ハイン。
(あるいは「大作戦」を打ち出したラグナをエボンの立場に置き換えることが出来るかも知れません。半身として考えるならばスコールの半身としてのラグナ、ととらえることも可能です。)
アルティミシアとユウナレスカはとてもよく似ています。
その圧倒的な孤独と、三段階変化が。二人とも最後は「人間の姿」すら脱ぎ捨てます。
考え過ぎでしょうか。
三段階変化については………モンスター係の人が「やっぱ三段階目はインパクトなくちゃ」と作っただけ、というのが真相でしょうけどね(オトすんかい!)。