Vagrant Storyの話。

大好きです。愛しています。特別ページまで割いちゃっていますがあらためてここで。

ベイグラントストーリー PS one Books

とにかく、ゲームというものの見方を一変させられた逸品。
文句つけようがない名作です。
種類はRPGアドベンチャー。ゆるーいアクションのRPGともいえます。あるいはダンジョンRPG?
KHが出来るならアクション面では全く問題ないと思います。だって、私KHすらクリアできていませんもん(泣)。

リスクブレイカー、アシュレイ・ライオットは多大な権力を持つバルドルバ公爵を殺害し、逃亡。
事の発端は一週間前、彼はとある逃亡犯を追って、魔都に赴いた。
そこで何が起きたのか?
なぜ彼は公爵を殺さなければならなかったのか?
全てを知るのは彼だけだ。
あなたは「彼」となって、彼に起きたことを経験する……。

え、いきなり主人公が殺人ですか?!
とびっくりしながらはじめるのですが、きっとぐいぐいと物語にのめり込むはず。
ファンタジーだけど、シリアスで大人の思惑が交錯する物語。宗教も絡んできます。
ところでこのアシュレイ、典型的巻き込まれ型主人公(個人的には究極の貧乏くじ男だと思う)なので、プレイヤーも一緒に「え? え?えええ?」と一緒に謎を解いていくことになります。
物語は、FF10のように前知識がないほうがよいのでここでストップしておきますが、私はゲームで初めて泣きました。FF10のように「さあ泣け!」というストーリーではないんですが(実際FF10では泣けませんでした。あらかじめネタばれ状態で始めたという理由もある)、脇攻撃、不意打ちで「やられたっ!」という感じ。

世界に関係するような大きく派手な話ではなく、小粒のよく練ってあるシナリオです。
Amazonでの評価は見事に二分していますが、口をそろえて「物語は素晴らしい!」と書かれています。
その物語と合うように、グラフィックは茶褐色系統、あるいは石造りでまとめられています。
これまた雰囲気抜群。廃墟はワイン貯蔵庫、地下墓地、地下教会、坑道など、「一人で地下のダンジョンに潜ってひたすらモンスターを殴る(根暗な)ゲーム」ではありますが、「怖いけど綺麗」という表現がぴったり。
ヨーロッパの実在の町、サンテミリオンをモデルにしているそうです。
またそれによくあったモンスターたち(時々三度笠かぶったようなやつもいるけど)。あるいは騎士たち。
視点を変えて風景をぐるぐる見てしまいます。余裕が出てくると、モンスターも(笑)。

しかし、モンスターがくせ者。
何せ強い!雑魚でも半端なく強い!しかも機械的に一定のパターンを繰り返すのではなく、まるで「生きている」かのように襲ってくる!
「魔都なんだからモンスターだってそこに赴く人間だって弱いわけがない」という理屈でもってのバトルバランスのようです。
また、バトルシステムが複雑です。
これを理解するのに一苦労。さらに慣れるまで二苦労(笑)。
うぎゃーとなっているわりには、なぜかゲームオーバーはしない、という抜群のバランス。
驚きました。
なぜなら、私はそう難しいRPGではないはずのFFでだって、当たり前のようにゲームオーバーするからなんです(←無茶しすぎともいう)。
つまり、ベイグラントストーリーでは、ものすごくドキドキしながら、えいえいっとちょんちょん剣でつついて倒すようにして、強そうなのがおそってきたら逃げて体力回復してからもう一度トライして……という調子でも、ちゃんと一部屋一部屋(あるいは一区画ごと)進んでいけるのです。
ゆるーいアクション、というのは、うまく攻撃をつなげるにはそれなりにタイミングを合わせる必要があるからです。でもたぶん最初はあまり合わないと思います(笑)。
それでもなんとかモンスターと対峙することは出来ます。
アクションは苦手なんだ!という方は武器をひたすら持ち替える!あるいは武器を作り直す!
といくつか手段が用意されています。
攻撃する直前になったら、与えるダメージ確率や攻撃成功確率などが出て、それでどのリム(部分)を攻撃すれば一番よいかを探す必要があります。相手のHPぶんのダメージを与えられれば攻撃箇所はどのリムでもOK。弱そうなところをひたすらぶったたく!

ただし、このバトルシステムで、好き嫌いがはっきり分かれます。
理解出来てしまえばさほどヘビーユーザーではなくてもゲームをクリア出来ます。ゲームで必要とされるようなスキル(反射神経とか)はいらないので、工房に潜ってひたすらカンコンカンコンと武器を作り、それをもってモンスターの弱点をひたすら叩く。
理解出来なかったらヘビーユーザーでも敷居が高いそうです。アクションはともかく、いつまでたってもダメージ率が上がらない…とか。

このバトルシステムに慣れてしまったら、他のRPGがちょっと生ぬるく見えてきてしまいました…(笑)。ゲームの好みがすっかり変わった、といってもいいかもしれません。

最後に演出と音楽について。
これはまさに映画とでもいうべきすばらしさ。カメラの動き方もいいし、音楽はここぞというところでクラシック調(あるいは打楽器中心)の壮大な音楽が流れたり、抑えるべきところは音楽は鳴らずに、ただ環境音(小鳥の鳴き声、水の流れる音など)だけ。
このメリハリの付け方が素晴らしくよいです。
オープニングではゲームへ向かうために気持ちを盛り上げていく音楽(そうそう、ゲーム開始前に二つの重要なオープニングムービーがあるのでNewGameを押す前に少し待っていること!かっちょいいです)。
あるいは音楽がなく、しん、としてモンスターの啼く声だけが響く怖さは、ゲーム自体を決して邪魔しない。
ワイバーン戦で流れる音楽のかっこよさは鳥肌もの。
特にスタッフロールの音楽の流れはまるで「その後」をそのまま表しているかのようで、それだけで涙が出てきそうになります。

同じようなことをすでにベイグラページでも書いているわけですが、ここでも書いたのはついついサントラを海外に注文(逆輸入!)してしまったことと、勢いで二次創作してしまったからなんですな…。(本当は二次創作するのも躊躇われるような隙のない物語なんですが、ひとつだけどうしても書いてみたかったので。)
ベイグラをプレイされた方で興味がある方は覗いてみてくださいな。

そうでない方は「古いゲームだから…」と敬遠されずに、一度さわってみてくださいな。
このベイグラントストーリーと時代は違えど同じ世界らしいのがFF12です。今からものすごく楽しみです。

それにつけても、はまるのが遅すぎました…。
もっと早くに知りたかった。そしてベイグラのファンの方ともっと語り合いたかったです(涙)。

追記:ちょっとだけ注意

こんなことを追記してしまうなんて、私も気がちっちゃいなあ(笑)。
FF12効果で最近ベイグラントストーリーをプレイする方が増えているとか?

実は私もきっかけはそうなんです(笑)。
私は大当たり!だったのでよかったのですが、そうでない方も多いようです……(涙)。
なぜかと言うと、あくまでも「地味な玄人向けのゲーム」だそうで、決して万人受けするゲームではないからです。
肌に合うかどうかは博打です。単に12の予習のために、という考えだけではなく、博打に出る勇気のある方はおすすめします。
中古ならば千円ちょっとで買えるはず。

おすすめなのは、本でたとえれば「薔薇の名前」が好きなような人(笑)。
本好きにおすすめ、でもコアな本好き限定、といった感じ。趣味は読書、読むのはライトノベル、という程度では駄目。
実際薔薇の名前が好きな人でゲームが好きな人であれば、物語はすっと体になじむはずです。
雰囲気似てるし宗教の話だし異端だし。

前提として「地下にもぐって(初回プレイ)20~40時間ひたすらモンスターを殴る根暗なゲーム」という認識があったほうがよいかと(笑)。*40時間というのは初心者プレイだそうです。ち、ちなみに私は43時間かかっています……(苦笑)。初心者認定。

○ボタン連打でゲームをする人は向いていません。いや、実は自分も○ボタン連打の人間ではあるんですが。私は個人的にちょっとばかり「面倒くさい」バトルシステムが好きらしく、ベイグラのややこしいシステム大好きなんです。数少ないプレイ済みゲームの中では、もっとも「ゲーム的側面」でゲームを楽しんでいます。決して少年ジャンプ的王道なゲームではないので、甘くは見ない方がよいです

ストーリーは小難しいと書かれていますが、決してそんな難しい物語ではないと思います。ただ、何通りか解釈可能(しかもそれが「うー、わかんない気持ち悪い」というものではない)なので、その「分からなかった部分」を推測するのが面白い物語です。

補完処理について

さらに追記。これはベイグラントストーリーに限りませんので、参考として。

PSソフトをPS2でのプレイを考えている方は、テクスチャーマッピングの補完処理をおためしあれ。
ベイグラントストーリーの場合、そのままだとカクカクしてますが、補完処理かけるとものすごく滑らかに! しかも臀部が(笑←これの意味が分かったら君はベイグラプレイヤーだ)!
ただ、補完処理をかけないドットの荒さがかえって味わいになっていたり、また補完処理かけると時々腕のあたりが割れて見えたりすることもあるので、お好みで。
ついでに、PS2の高速読み込みモードも効果ありだそうですよ。

4 thoughts on “Vagrant Storyの話。”

  1. nahanahaさま、初めまして! 書き込み有り難うございます。
    FFTもクリアなさっておられるんですね! 真・イヴァリースウォーカーと呼ばせてください(笑)。
    私はウィーグラフ戦でラムザがレベル20台で出撃せざるを得ない状況だったので、そこで挫折してしまいました……。
    ベイグラントストーリー、確かに再度「あの」アシュレイから始まると思うとかなり気が萎えるかも……「1!」「2!」というしょぼいダメージは却って今では新鮮ですもんね(笑)。
    自分は臆病者で面倒臭がりなので、保険としてメモリを二つ取っておいています(笑)。一人は聖戦の間で出撃直前、もう一人は工房ファインクラフトでぜえぜえいいながら休息しているアシュレイです。

  2. はじめまして、こんにちわ。初めてコメント欄に書き込みしますんでちょっと文章が変になるかもしれませんが、お許しください。
    実は私、ベイグラを先にして、FF12を待っていたほうでして、さらに言うとFFTまでやっていたというまさにイヴァリースどっぷり派です(笑)
    ベイグラも三周ぐらいして売ってしまっていたんですが、FF12をやってまた買い戻してしまったというばか者です。しかし、あれをもう一回始めからやりなおすのは結構根気が要りますね。今のところはオープニング見るだけで、いっぱいいっぱいです。(メモリ、残しておくんだった…)

  3. こんばんは、sum様。
    ベイグラントストーリーに反応してくださった方は初めてでとても嬉しいです(笑)。本当にあのシナリオはよい出来ですよね。
    私はクリア後にアルティマニアの小説を読んだのですが、最後の部分は必ずしも真実というのでもなく、一つの見方なのかなぁと思っています。無駄な言葉のないシンプルなゲーム内のシナリオもとても素晴らしいですよ~。
    ゲームシステムはちょっぴりややこしいことは確かですが、アルティマニアがお手元にあるならばクリアは可能なはずです(笑)。映像(PSの限界)、音楽(ゲームにぴったりと合わせてある)、カメラ全ての点において魅力的なほど練り込まれた作品ですので、もし機会がありましたらお手にとってみてくださいね。

  4. 兄がベイグラント持ってましたよ!プレイしてるとこは残念ながら見たことないのですが、アルティマニアを勝手に(え)見てまして、そこに書いてあったストーリーだけで感動しました(>_<)あんな練りこまれたストーリー初めて見ました!

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