他人様のダンナを殴り倒してきました。しかもノックアウトした。
もちろん、Wiiで、です。
普段の青星は温厚で知られています、よ。きっと。
というわけで、友人宅でWii初体験してきました。
「ぽよぽよしている」というのが初印象でした。Miiというキャラクター登録システムの中のキャラクター、またインタフェースの動作はやわらかいボールが跳ねるような感じ。
で。
インタフェースがうまいと思いました。仮想現実をよりリアルにするための刺激を与えています。
コントローラを握って動かしていくとき、画面上のボタンを押したりする感触にちょっとした振動を与えているんですね。それで「ボタンへこみ感」を擬似的に作り出しています。
「(現実世界では当然の)自分が動作したらちゃんとなんらかの反応となって返ってくる」という原理をきちんと仕込んでいるんだなあと感心しました。ちょっと回りくどい言い方ですが、普通、人間が何らかのボタン押し行動をしたら、押して返ってくるという感触(動作の感覚)があったり、「実際にボタンがへこむ」という目で見える反応(フィードバック)があるわけですよね。
でも、Wiiは架空の制御板の上に向かってコントローラを向けボタン押しするので、単に画面上だけの目に見える変化だけなら、いまいちその「フィードバック感」が弱かったはずです。
それを、ちゃんと「ボタンに触れたときにはかすかに振動を加える」ことで、「あ、今押したな」というフィードバックを得られます。
Wiiは、それまでのゲームがボタンを押して行動する、という割と「記号を操作する」ものだったのに対し、「動作する」という感覚を(ある程度擬似的に過ぎないとしても)利用したゲーム機として面白いのでしょうね。
記号を操作する、なんていうと小難しそうですが、つまるところ、Aボタンを押すと剣を振る、といったような、実際のボタン押しとはまるでかけ離れた行為をゲーム内のキャラクターがやることです。これまでの多くのゲーム機はそのようなものでした。
今までの勇者はボタン押しによって動かされてきたけれど、Wiiの中の勇者は、プレイヤーの真似っこによって動くってことですよね。
確かに新しいことであり、同時に、古いことでもあります。新しいというのは「プレイヤーの動作をキャラクターが真似る」ということであり、古いこととは「プレイヤーにとっては現実世界で馴染んできた動作をそのまま行っているだけ」ということ。
遊んだのは、「はじめてのWii」と「WiiSports」。
「はじめてのWii」は、Wiiに慣れるための基本動作を使用するようなゲーム。面白いというより……チュートリアル(笑)。全体的に地味なゲームです。
エアホッケーはかなり面白かったかな。釣りはなんかストレスたまる。
「WiiSports」は、普段は下手でもゲーム内ではかなり得点がとれるので、そこがよかったのか、な……?
テニスで四人プレイをしていたんですが、サーブの前にみんなでコントローラを振っているとキャラクター全員がすごい勢いで素振りをしているのが面白い眺めでした。
あと、ボーリングでは(皆ボーリングが苦手orほとんどプレイしたことがないという面子であるにも拘わらず)スペア連発。最後の10ラウンドではストライク二つだして、三回目は惜しくもあと一本!でした。
(ちなみに自分が実際のボーリングをしたのは2000年が最後でした……試験が終わって気楽な身分になったから)
一番面白かったのはボクシング。
友人のご主人(も古い友人だけど)と対戦相手にしてばしばし殴りまくりました。
実際には、デフォルトのコントローラにヌンチャクコントローラを接続して、それをそれぞれ両手に持って、思いきり振る!
端から見ていてもおかしかったようですし、自分たちがやっていても大笑いしていました。
体力使うわ……。けど、二の腕が細くなるんじゃないの?とも。
しかし……やはりライトユーザ向けというのでしょうか、「Wiiは新しい遊びじゃない」というのをとあるゲームデザイナーの方が言ったらしいのですが、それも納得。面白いけど、没頭まではしませんね……。今回遊んだのが没頭するべきゲームじゃない、というだけかもしれませんが。
今回遊んだような「現実を模した」ゲームなら、日常の延長線上に過ぎない、とも言えるわけで。
それが面白いと思うのは、現実よりも遙かにうまく出来るというところが、自尊心を傷つけずに済んでいるからなのかなぁ……。けど、難しいことをクリアした喜び、みたいなものが小さいです。
つまり、達成感が小さい。
いかんせん現実の感覚を知っているとどうしても比べてしまって、その達成感の小ささにちょっとがっかりしないこともない……。
Wiiのボクシングは実際に痛みもないし、殴ることへの倫理的な心の痛みもないわけですから面白いと思いましたが、ボウリングは現実のボウリングのほうが面白いし、やっぱりもっと盛り上がるだろうなあ……。なんだかさくさく終わっちゃうんです。
現実感の重みが少々たりないのです。
だから、仮想現実として、さらりと表面的に遊ぶには良いのだけど……というような、もやもや感もちょっと残るゲーム機でした。
ゲームでの操作感(キャラクターをコントロールする)と「実際に自分が動作した感覚」というものは別物なんだなあと妙にしみじみと思いました。