題して、「シナリオにおける主人公救済策を考える」(笑)。
しかもイベント数をなるべく増やさないように、という制約つきで。
ゲーム的には自分でやるからいいです。「野郎で行くイヴァリース巡り」で(大笑)。
主人公ヴァンの影の薄さは大半の方が指摘なさっているところ。
でも実は彼は、凄くおいしい位置にいるはず、なんですよね。緩やかになんだけど、本来無関係のはずのパーティメンバーが彼を中心としてつながっている。彼はちょうど「ハブ」の位置にいます。はぶにする、のはぶ、じゃありませんよ!!
ネットワークの中心という意味の、HUB! (あ、今気づいたけど、チェーン店のイギリス式パブのHUBってここから来ているんだ……)
たとえば、アーシェとはなかば見えるもの、あるいは性質を共有している。(彼のほうが早く克服しちゃいますが。)
バッシュとの間であれば、兄を殺したという疑いを持つし(嫌悪感であれ強烈な関係であるはず)、またバッシュ側からは償いの思いを向けられているはず。
バルフレアとフランはあこがれの空賊。
パンネロはいわずもがな。
アーシェとバッシュ、バルフレアとフランの組み合わせは強い関係があるけれど、アーシェたちとバルフレアたちを結びつけるものって実はほとんどない。(ま、バルフレアがその口とは違って人情家というミソがつくが)
このゲームにおいて、意味のあるつながりはヴァンを介しているものなのです。
しかし、結局話の筋はヴァンとパンネロ以外の葛藤を解決していく物語だったわけで(笑)、彼らはいつの間にか葛藤をクリアしちゃっています。この「葛藤を先に解決した者」として、物語を先導する役割を果たせたんじゃないかなあと思ったりしたのです。特に、彼と似たような復讐との葛藤を持っていたアーシェに対して。
じゃ、どうすればいいのか?
ほんの少しだけ、もともと持っていたヴァンの力を強めてやればいい。
それは「幻影から真実を見通す力」。
アーシェが最後にラスラの幻影を斬りつけ、正体のオキューリアの姿を見いだします。この能力を、兄が見えなくなった頃から身につけていればよかったんじゃないかな。
たとえば、ミリアム遺跡でのイベント。そこではアーシェはラスラを見いだし、ヴァンは何も見いだしません。
それも悪くはないけれど、彼は幻影の「正体」を見いだしてしまった、という流れだったほうが面白かったんじゃないかな。
オキューリア的な存在はミュリンに憑いていた、というイベントが割合?直前にもあるわけですから、「それは違う!」と指摘出来ればよかったんじゃないか?とか、あるいは、アーシェには何も見えなかった、と答えながら、「それは違う、俺には……」と独り言を言わせてみせるとか。「俺にはあの影が見えるんだ!」ってね。その影自体はプレイヤーに見せずともいい。ただ、主張させておくだけでも。
この考えのいい点として、オキューリアがもう少しゲームの舞台に出てきます(笑)。(正直、ミュリンとかベルガの影にオキューリアが見えるというの、ウィキペディアで指摘されるまですっっっかり忘れていましたしね)
もうひとついい点は、ラスラがいるということを信じたいアーシェ(および他メンバー)とヴァンとの軋轢を表現することも出来るわけです。(そこまでする気力がなければ、ヴァンがパンネロにこっそりと独白するか、あるいは独り言で解決だ!)
このような人物であったならば、大灯台でのイベント、最後に破魔石に斬りかかろうとするヴァンの行為の説得力もさらに大きなものになるはずです。
さらに、物語において誰よりもはやく葛藤を克服し、結果的に先導した者としての「トップ」の立場に居られることにもなります。つまり、主人公にまでなれるか分からないけれど、「アホだけど妙に鋭いところもあって、それによって周囲の人が変わっていく」という性質がもっとはっきりと出てきたのではないかな。
と、そんなことを思ったりもしました。
(でも、「ほら、俺の言った通りだろ?」と言っては欲しくないというジレンマはある……)