Vielen Dank

Vielen Dank-Masashi HAMAUZU-
ついに、レビューです。


ブログ検索で感想を読んでいたら、褒めているものが多くて嬉しい……とニヤリとしそうになったのですが、(ある意味マニアックな)このCD、ファンじゃないと買わないだろう、という統計的事実にはっと気がついたうえ、「浜渦さんらしい」曲が勢揃いなので、ファンが絶賛するのも当然。
悪いレビューが基本的に出てこないはずだわーとちょっと冷静に考えてみたりもしています、今日この頃。

浜渦音楽に毒された耳ではない人に聞いてもらって、「良い!」と評価されるとよいなあ。 あー、ご存じの通り、私は毒されまくっているので、私の耳はアテになりません。
でも、もし少しでも興味を持ってくださった方がいらしたら嬉しいなあ。

まず全体的なレビューから。
浜渦さんは小品好き?と思われるほど、本当に短い曲が多く、飽きる間もなく終わります。なので、普段クラシックが退屈だなーという人でも、一聴は耐えられる、と思います(真面目な話)。つまるところ、心地よく聞ける音楽のコレクション。
現代音楽ではないですが、クラシックの年代でいうなら近代音楽的です。まあ、これは前々からですね(笑)。
かなりひねくれたメロディや不協和音を使われているにも拘わらず、ちょっと聞きには「癒し系」と分別されますので、その手のピアノ音楽が欲しい方にもオススメ。

おっと話がずれた。

バリバリのロック、あるいは鼻歌可能の一本のメロディがはっきりしているような曲がお好きな方には全くオススメできません。

で、短め、というのは欠点にもなりうるもので……いくつか、「これで終わり? もったいない!」と思う曲もあります。
文章でたとえるなら、短編集というよりは詩集、あるいは断片。場面のBGMを作ることが多い、ゲーム音楽の作曲家の性なのかなあ。
その断片がきらめくように美しいので堪能していますが、個人的にはいずれ、「提示部~展開部~再現部」といった、横の流れのがっちりしたドラマチックな構成の曲、物語で言うなら起承転結のあるそれ、を聴いてみたいです。
縦の構成はほんとに見事なんだよね……私はそこに惚れ込んでいるんですけどね。
ということで、ドラマチックな音楽、規模の大きな音楽、なによりもすっきりした結末を求める人には合わないと思います。

ただ、不協和音やひねくれたメロディの絡み合いなどを楽しめる人は、どんどん深みにはまっていけると思うし、個人的にはそのために他の雑念を取り除いてきゅーっと集中させてくれるので、素晴らしいCDです。
癒し系とか言ってられないわけですよ、個人的には(笑)。もっと真剣に対峙しなくちゃ、と思わせる。
で、ひねくれたメロディと不協和音ゆえに、私は浜渦さんが植松伸夫さんの後継者だとは思わないよ(笑)。植松さんは植松さん。あのひと、メロディメイカーとして天才的!

内容はオリジナル曲とアレンジがほぼ半々です。オリジナル曲の出来が出色。(とはいえ、アレンジを推している方々もいらっしゃるのでそこらへんはご自由に)
違いといえば、アレンジもののほうが、メロディラインが分かりやすくつくりも分かりやすいものになっていると思います。

「ちょっと冒険して買ってみようかな?」と思われたら買いをオススメします。多分、外しません。
まあ、このCDに惚れ込んだ人間がそんなことを言っても、説得力がないかもしれませんが(笑)。

では楽曲へ。

  1. Winterhof
    冬の日の午後、カーテン越しに見る小さな庭。曇り空。冬の日のけだるさを感じられる美しい曲です。
  2. Waeldchen
    一枚の葉も残っていない枯れ枝の木立が時折、ゆっくりと揺れている。静かでゆったりとした曲なのに、なにげに転調の忙しい曲。ここで終わるかー!!と思った曲その一(笑)。
  3. Kinderspiel
    子どもへの愛情が素直に伝わってくるような曲。かわいらしい、決して鈍重ではない、活発なような、時々とんでもない(でも小さくて済む)ことをしでかしてくれる子どもの遊び。
  4. Die Zelt im Garten
    ちょっとした騒ぎを起こしながらテントを張る親子。全然説明になってねぇーとここまで書いて思いました(笑)。
    短調の曲ですが、割と活動的な感じ。展開の仕方がものすごくデジャブる……と思ったんですが、これ、多分、サガフロ2っぽいんだわ。サガフロ2のアレンジの中で使われているような手法。
  5. Maigloeckchen
    ちら、ちらと揺れる白いスズラン。短調のくせしてこれも長調に急いで変わっていきます。ゆっくりした、ぽつりぽつりとした、スズランといわれればさもありなん、な曲ですが。
  6. Feuerdorn
    このCD中でかなり好きな曲。静かなようで、そこから激情を見せてくれる。ピラカンサとはギリシャ語で炎のトゲという意味があるそうです。ドイツ語も直訳すると「炎のトゲ」になります。納得納得。真っ白な小さな花を咲かせた後、真っ赤な小さな実がなるのです。そーいえば昔、この実をよく食べてた気がする。
  7. Die Ranke
    どこか迷いのあるような曲。いつの間にかからみつく、ツル、ということでしょうか。メロディのくるくるまわるところとかはツルのヒゲっぽい。
  8. Kleine Teestunde
    わくわくする時間。軽やかな足音で走り寄ってきて、そこで茶菓子を広げて気取ってお茶をしてみる。けど、やっぱりそこには他愛なさがあって、それがとてつもなくほほえましい、そんな小さな喜びの曲。
  9. Die Alte Hausmauer
    これもサガフロ2(PPSF2)がデジャブった(笑)。どっしりとかまえた土台の上に居座る家。(とはいえ結局高音に来るのが浜渦さんだな。
  10. Kaki
    ものすごくFF10の「決戦」ピアノアレンジに似ています!なので、それをイメージしてくだされば……。
    柿の葉が攻撃的、らしいんですがそれは私にはさっぱりわかりませんっ!
    でもとにかく決戦に似てる! 決戦はメロディラインが山形だけど、こっちは谷型! 滅茶苦茶好きな曲。多分他の方の間でも人気曲と思われる。
  11. Abschiedskuesschen
    ときどきためらいの入る綺麗な曲。メロディラインがちょっとひねてると思いますが(笑)、そのちょっとひねったところがためらいのような気がします。あー、ここで終わるのー?
  12. Feuersinfonie I
    もともと二人の浜渦さんのお子さんをイメージして作られた曲ということで、かわいらしく活発で愛嬌のある曲。原曲もディズニー曲っぽくて可愛い! さて、37秒で「この不協和音は果たしてミスか意図的か?」という議論が某所でありましたが、個人的には装飾音的に扱われているということもあって「意図的」に一票! ここで一瞬バランスを崩してくれないと浜渦さんじゃないぞ。
  13. Stummer Dialog
    原曲に比べ、展開部が結構派手になった感じがする……。弾き方のせいかな? 展開部の和音がたまらないのでご堪能あれ。
  14. Aquas Erinnerung
    浜渦さん曰く「洗剤系」の原曲(笑)。その洗剤系のイメージをそのまま継承して、単に明るいだけではなくちょっと切ないような音色を込めたきらきらしい曲です。
  15. Ewiges Leid
    この原曲、とある尊敬する作曲家の曲に基づいて作った曲だそーで……。そう言った意味で、思い入れのある曲なんですね。短調の、高音のメロディがとても切ない。長調が混ざるために、かなしみ、というやわらかな言葉に合う静かな感情が聞こえます。
  16. Feuersinfonie II
    お子さんイメージその二の曲。これもとてもディズニーっぽいと思った曲です。メロディはIと同じですが、ちょっとおつにすました雰囲気。だけど子どもらしいはつらつとした動きも隠せず、変化に富んでいて、まとまりがよい曲だなあと思います。
  17. Zufall
    PPSF2でもピアノアレンジされていたし、原曲もピアノメインの曲でした。ちょっと変わった曲ですよね。長調とも短調とも言えないような。PPSF2のアレンジよりこちらのほうが好みのアレンジです。(ちょっとヤケクソっぽいけど)終わりがちゃんとあるし!
  18. Botschaft
    幸せになるような曲ですよね、これ。静かな明るさ、という感じ。穏やかな、窓を通して入ってくる自然光のような曲。
    PPSF2で既にアレンジ済み。あんまり変わっていない気がするけ……ど……。ただ、PPSF2のときはまだ、全体的に「思っていることを素直に音楽で表現出来ていないんじゃないかな?」という感じがしたんですが、こちらはとてもストレートに出ている感じがします。特に、曲により緩急がついたのが素晴らしい。
  19. Interludium
    これもPPSF2でピアノアレンジ済みです。もともと原曲もピアノピアノした曲でした……が! ここで生フルートが来るとは! とても好きなアレンジになっていて、幸せです。音階を使ったメロディだから、外れもないしね(笑)。
    やわらかでやさしい曲。でもやわらかながら芯のあるフルートの線が単にだらけた綿ではなくて一定の緊張感をもたらしてくれます。あー、ここで終わるかーの曲(笑)
  20. Feldschlacht V
    こういうアレンジで来たか!と思った曲。うう、和音がたまらないですよ……!! 切ない系で、少しバランスの崩れた和音(その後に解決が来るような音)に滅茶苦茶弱い青星です。英語に訳すとフィールドバトル。つまり、雑魚戦の曲なのですが、原曲は1から4までしかないんですよねえ……つまり。
    ニヤっとしてください。 けど、ここでおわ(略)
  21. Jenseits der Finsternis
    原曲からしてもともと大好きだったんですが、ファーストばよりんが最初に高い音で細く、けどしっかりと切なげに歌い上げるのでぞくりと来ます。これ、しっかり聞くと、不協和音でかなりひねくれて難解な曲のような気がしますが、そのせいで「深淵」の言葉をより実感する気もしないでもない……。ついつい、「どうなっているんだろう?」と聞き入ってしまいます。
  22. Eisblauer Himmel
    一押し! これは本当にきらめいていて、純粋で、軽やかで、美しい曲です。私はこのCDを家でiTunesのPCかCDウォークマンで聞いているのですが、iTunesの再生回数では断トツの177回! 聞き過ぎだろ!というツッコミを入れたくてたまりませんが、本当に美しいんですよ。
    浜渦さんの和音、ここにあり!という感じで……うわー切ない明るさー(もうなにがなんだかわかりません)。
    な、なんでここで終わっちゃうの、もったいない……!
  23. Die Wahrheit
    個人的に二番目に好きな曲。
    恐らくこれを一番に推す人も多いと思われます。理知的で怜悧な印象のある曲。あくまでも理性を保ちながら、それでも方向性や強い意志を感じる曲。ち、ちなみに再生回数91回……(私、アホかも)
    唯一欠点があるとするなら、弦楽器の音程がいまいちぴたっとおさまんないところ(TT)。弦楽器さん頑張ってよう……!
  24. Vergessene Traenen
    原曲もほぼピアノで綺麗な曲なんですよね……DCのアルティマ○アによるとほんの短い時間で出来てしまったらしいんですが。三拍子の伴奏で切なさ爆発。同じテーマ(シェルクのテーマ)が様々に姿を変えて顕れます。
  25. Splitter von Traurigkeit
    原曲はヴァイオリンで歌い上げていたために、かなり悲痛度の高いものだったのですが、ピアノになることによって穏やかになっていますね。淡々とした感じを味わうならピアノのほうがオススメですが、個人的には原曲のほうが好きかも……。
  26. Aufsteigende Fluegel
    浜渦さんにとってほぼ唯一の歌物をアレンジしたもの。原曲は歌い手さんも素晴らしいのでとってもよい曲です。
    分かりやすくてよく出来たアレンジだと思います(多くの人がこのアレンジに心を打たれている様子)が、もう少しメロディの線に多彩性があってもよかったな。たとえば右手ばかりでメロディを歌うのではなくて、左に受け持たせてみたりしてほしかったなあ。曲の出来はともかくとして、このCDの中ではあまり好きではないアレンジでした。
    この曲の最後は、流しちゃったなぁ、きちんと結末がついていないなあ、という感じがしてあまり好きではありません。トリルで終わるのはあまり好みじゃないんですよ……。よっぽどうまくやらないと、なんだかごまかしのように聞こえてしまって。

ここまで書いて力尽きました。オチがなくて申し訳ございませんが、現在はこれでよろしく。

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