音楽の紹介してもいいよ!というご意見があったのでここでやっちゃいますよ~(ニヤリ)!!
崎元さんの音楽は素晴らしいですよね。個人的にとても好きな作曲家さんのお一人です。
FF12の音楽も素晴らしかった。楽曲として聞くと名曲ばかりで、通勤中にもよく流しています。
けれど、ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、FF12の音楽、よいよいと書きつつも個人的評価がさほど熱狂的でなかったのは、不運にも(?)、私がそれ以上の崎元さんの「すごみのある」音楽を知っていたから。
それがベイグラントストーリーの音楽です。
ゲームをしていると、どのような場面、人物で音楽を鳴らすか、というコンセプトが割合はっきり見える場合があります。たとえばDCFF7の浜渦さんの音楽はまさにそうですね。主人公たちのテーマが絡み合いながら、ゲームとともに進行していきます。
それを極限までつきつめた感のあるのが、ベイグラントストーリー。
なので、このゲーム音楽の本当のすごさを感じてもらうには、「プレイしてもらうしか……」と言葉を濁してしまいます。
ゲームを知っている人からすれば「ああ、あのときの!」と思いつつ楽しめるのですが、何にも知らない人が聞くと暗い曲が多く、長調の曲でもどこか切ない雰囲気満載なので、もしかしたらつまらないと思うかもしれません。
それでも、私の知る中で、最高傑作とオススメしたいと思います。
(ちなみに崎元さん作曲の所持CDは他にはFFT、FFT-A、ステラデウスとご存じFF12。うーん、少ない(笑)。)
相当、効果音の担当の方とやりあったらしい(アルティマニア参照)ので、そのやりあっただけの甲斐のある素晴らしいデザインです。そのころ崎元さんはスクウェアサウンズの社員さんだったので、とことんまで「ゲームにつきあう」ことが出来たのではないかと思います。偏見混じりですが、FF12の時よりも。
さて、ベイグラントストーリーはどこかでも述べていますが「地下に潜ってひたすらモンスターを殴り続けるゲーム」です。
主人公のスタンス、実はFF12のヴァンのスタンスとよく似ていると思うのは私だけでしょうか。蚊帳の外ってところが(笑)。
けど、ベイグラントストーリーの場合は最後にどわっと中心人物となり、彼が手に入れる「真実」(プレイヤーには分かりませんが確かに彼は手に入れたと感じることが出来ます)で、静かな感動が待っています。
蛇足ですが、プレイヤーにも想像の余地も残しつつ、でも彼は一番大切なものを手に入れたということだけは伝わってきて、途轍もないカタルシスを手にすることが出来るのです。多分、多くのプレイヤーさんはラスボス戦後のあの人とあの人の会話で最大の感動を感じているのではないかと思うんですけど。
そんなような物語なので、青空の下で繰り広げられるような、ぱーっと明るい、あるいはただ激しいという音楽は似合いません。
もともと、崎元さんご自身が、作曲していると暗い曲になってしまうらしいので(笑:FF12アルティマニア参照)、ベイグラントストーリーの薄暗い世界にぴったり。
まずはフィールド曲から。
クラシックなどの旋律を多声的に際だたせたものというよりは、どくどくどくと刻む低いリズムや、コーラスのシンプルで不気味なメロディを唱うもの、東洋でも西洋でもない、あるいはそのどちらでもある、どこか遠くの知らない廃墟の、そこはかとない怖さと美しさを作り出しています。Amazonのレビューでも「かびくささ」を感じるとありますが、そのような廃墟のにおい、湿気が確かにつたわってくるような音楽なのです。
で、バトルシステムはFF12と同系統で、フィールド上にいる敵と戦っていくものですが(FF12がベイグラントストーリーの正統進化系)、ダンジョンの中で主人公はひたすらバトルをしているわけですが、通常のバトル曲などのような激しいものはあまりありません。
命を削る激しいバトルに焦点を当てたのではなく、その環境に合わせたもの、と思い切っています。
もともと、ゆったりとした流れのあるバトルシステムなので、ひとり黙々と、孤独に戦い続ける男とその静かな緊張をよく伝えてくれます。
(FF12ではバトル曲がないかわりに、バトルらしさをフィールド曲で作ろうとしたため、曲としては好きだけれどもそのシーンにはまっていないと思ったものがいくつかありました。地味な「セロビ台地」など、「こういうのがぴったりなんだよ!」と感動しましたが。)
さらに凄いのは、思い切ってBGMをなくし、効果音のみのフィールドもあること。(もはや音楽の話ではなくなってきた)
遠くから聞こえるモンスターのうなり声、敵の甲冑の音、せせらぎの音……それらがかえって音楽をそのフィールドに持たせるよりも緊張感や雰囲気を生み出します。
もちろん、所々で挿入されるボス戦には、それもメロディが目立つもの、ひたすらパーカッションで強いリズムを刻んでいくもの、と、暗い雰囲気を保ちつつも様々なものが用意されています。そこで派手な音楽を持ってくることで、メリハリがつくのです。
さらに瞠目すべきはイベントシーンの音楽です。多分「無声ゲームの傑作」というのはこういうのじゃないかと(笑)。
音楽の色調は暗めですが、盛り上がるときは思いっきり盛り上げ、こちらの気分を高揚させてくれます。特に最初のオープニングは「一体これから何が起こるんだ?!」というわくわく感を作り上げてくれます。
さて、ベイグラントストーリーは、PS時代の作品ですから当然ながら声は入っていません。台詞を読む形式で物語が語られます。あのですね、これが凄いんです。
台詞を飛ばしたり、じっくり読んだりするというのは人それぞれの早さがありますよね。で、その「文字を読んでいるときに流れる音楽」を短くリピート可能なものにしておき、中途半端に途切れても不自然ではないように目立たない旋律を使っています。
読み終わってボタンを押した途端に曲の雰囲気が切り替わる。
まるで映画を見ているように場面の変化が実にスムースなんです。
最初、何にも気にせずにプレイをしてしまったのですが、アルティマニアで「実は…」と書かれていたことでものすごく驚愕。あわてて最初からプレイし直しました。そしてその細かい気配りに感動。
つまり、音楽が音楽そのものを主張するのではなく、ゲームの随伴として相乗効果を持つ素晴らしい作品。
まさに、抑えるべきところは抑えたという「引き算の美学」によって、ベイグラントストーリーの音楽は編み上げられているように思います。
なので、……えーと、ベイグラのサントラを聴こうかなーと思った人は、ゲームもプレイしてくれると嬉しいなということで……(笑)。
お気に入りの曲をつらつら書こうとしたら、ちょっと尋常じゃない時間がかかりそうだったので割愛。
一つだけあげるとしたら、「ワイバーン」。
竜という神にも近い存在と対峙する気高い戦いを伝えてくれます。
こ、根性があったら、またこの記事に修正を入れて、各曲の説明を加えます……。思い入れが強すぎて、どうにもまとまらないんですよ(苦笑)。
ごぶさたしております。以前ベイグラの攻略についてアドバイスをいただいた者です。この度ようやくクリアまでこぎつけましたので、お礼の報告に参りました。ギルデンスターンは、青星さまのアドバイスなしには撃破できませんでした(泣)その節はほんとうにお世話になりました。
もう何年もゲームから離れていた私がゲーム機を購入してまでベイグラをやってみようという気になったのは、青星さまが書かれたこのレビューを読んだことがきっかけでした。私は元来、音楽からゲームに入ったり、ゲームそのものは未プレイでもCDだけ購入することが多いのですが(FF8,9はサントラから入りました)、実際にベイグラをプレイしてみて、青星さまのおっしゃる「ゲームの随伴としての音楽のすごみ」を体感できたと思います。
…とはいえ、ゲームを始めたばかりの序盤では敵から逃げること、パズルをこなすことに必死で、BGMに耳を傾ける余裕もありませんでしたが(笑)
それでも、、廃坑の不穏なメロディ、キルティア神殿の神秘的なヴォイス、レアモンデ市街のせせらぎの音など、多彩な音楽がゲームの雰囲気を伝えてきました。また、チェインをつなげる度に違うタイミングでかぶさる音や各ステージで聞こえてくるモンスターの甲冑のふれあう音、ゾンビの足音といった「気配」を感じさせる効果音など、とても気分を盛り上げてくれました。あのモンスターの効果音はとっても怖かったです(泣)
こちらのレビューを先に読んでいたので音楽の切り替えには注意していたのですが、本当にスムーズでしたね!ネタバレが嫌で、まだアルティマニアは読んでいないのですが、開発陣のインタビューが載っているそうで楽しみです。
音楽が目当てで始めたゲームですが、音楽そのものはもちろん、グラフィックや台詞回し、シナリオ等とそれらによってなされる演出やパズルの謎解き、アイテムの合成など、とても楽しめました。
青星さまの書かれたレビューがなかったらこのゲームに手を出すことはなかったと思います。すばらしいゲームと出会わせてくださって感謝します。
ありがとうございました。
お返事が遅れてしまい、申し訳ございません。
ベイグラクリア、おめでとうございます!楽しんでいただけて本当によかったです。
自分の紹介でゲームをプレイしていただけるのは嬉しい反面、「お気に召されなかったらどうしよう……」という小心な不安も抱えているので、このようなご感想をいただいて安堵しきりです。(特に、このゲームは人を選びますからね……)
私もわりと音楽を購入してゲームはやらない、というのも多い(笑)です。しかしベイグラはプレイしてこそ、その真価が分かる音楽の代表だなあと耳ゲーマーであることをちょっと反省させられたものです。
いやあ、すごいですよね。
ほかの点でも、ベイグラは素晴らしい……と思っているのはファンの贔屓目かなとも思っていましたが、れっつ様からこのように書いていただけると「勢いで書いてよい紹介記事じゃないけど、書いてよかった」と思います。
(実はここ二年ほど、ひっそりオフでもベイグラを布教中です……)
ゲーム機を購入された甲斐はありましたでしょうか?
こちらこそ、嬉しいご感想に御礼を申し上げます。書き込んでくださってありがとうございました。