結論から述べると、「凄く面白い!」でした。
今までのベストゲームの中でFF7をおいぬかんとするくらいの勢い。いや、本当に面白かった。
特に終盤はSF好きにはたまらん。この手の話が好きな人は悶えるでしょう。自分も「うきゃー」とにやけていましたもん。
いろいろツッコミ所はありますが。
たとえば、
- モーガン、グレンのクセ抜けてない…つまり、やはり手続き記憶は残っているから自身のデータの上書き出来てないじゃん、とツッコミをいれたくてたまらなかったです。そこらへんのチェックを怠るのはありえない。脳神経科学の権威だったらね。
(グレンが一瞬蘇ったのは”神様の領域”なんでしょうけれど)「人間は物質だけじゃないんだな」みたいなことをいっていましたが、それは単に、「神様の領域」の話でもなんでもなく、現実的に(心理学として)考えるなら、「人間は言葉の記憶だけじゃないんだな、(運動などの)記憶もあるんだな」ということ(しかし種明かししてしまえば感動半減)。 - そもそもどうやって十テラバイトの情報が脳の中に納められると分かるのか
- ヴァンツァーばっかり操っていたら記憶がなくなるというけど、恐らく逆じゃないかなあとか。むしろヴァンツァーを操ることが「習慣的」なものになれば、ほとんど機能はコントロール処理(注意的過程)から自動処理(自動的処理)に移るはずだから、訓練初期のあたりは記憶に障害を受ける可能性はあるが、熟練したらむしろ折り合うと思う。脳の機能でいえば、最初は注意も必要だったから前頭葉も使いまくっていただろうけど、それが訓練によって熟練すれば、島が働き出すようになる。たとえていうなら自動車の運転。初期はもうはちゃめちゃだけど、熟練者だったらおしゃべりしながらでも普通に運転出来るようになるでしょ?アレと同じ。
マニアックにつっこんでみました(笑)。ここらへんをこっそりつっこみつつ遊べるのが自分としては楽しくてたまらない。
それに出ました、「等価交換」! さすがスクエニ(大笑)。
ただ、自分がプレイした前作(1stや4th)からすると、話の趣向ががらりと変わったのが分かります。前作までは割と「フィクションだけどそれなりにリアリティを追求してみた戦争物」(ハヤカワ文庫でいえばSF文庫には入らなそうなやつ)というものに対し、今作はたぶん主人公たちも(主人公たちにとっては台詞の上でだけですが)「SFの世界」と述べています。制作者サイドはメタフィジカルであることを言及しているんだろうな。
というように、この話は思い切りメタフィジカルSFな話になりました。
だから、あくまでも戦争物のリアルさを求めるような人には受け入れられないでしょう。
しかし神林長平が今一番お気に入りの作家である自分にはもうたまらんですよ。
それにそもそもヴァンツァーという兵器自体がリアルさからかけ離れていると思うから「今作はリアルじゃない」という不満はいまいち当てはまらない……
……禁句だったかも。
(それにしても、ヴァンツァー、背後を取られるとめちゃくちゃ弱そうなんですけど。特に膝の関節あたりとか…)
バトルは割と楽。4thで無駄なほど苦労したことを考えると(ダリル編もエルザ編も)、ラストバトルも(早々にヘクターがへたれたので二回ギブアップしたのを除けば)割合あっさりと終わりましたし。
とはいえ、クリスティン姉御とダモン兄貴は倒れてしまった状態ですがね(笑)。
最後の三つのステージは古巣の初期メンバーで闘いました。
他のシステム面として、アリーナがなぁ……。何度「自分でコントロールさせてくれ!」と思ったことでしょう。
結局ほとんど使わずじまい。サカタ君と戦ってわーい、と喜んで、そのままぶったおされたくらいでしょうか。坂田君元気にしてるかなあ。
サバイバルシミュレーターは二週目で極める予定。ついでにバトルシミュレーターも最後は全く使っていないので、ハードモードになったら確実に必要なこれらを二週目で極めます。
ゲームとしてちょっと残念だなぁと思ったのは、やっぱり「でかいボスメカがあまり怖くなかった」ということでしょうか。前作では「ぎょえー、逃げろー!!」という風に恐る恐るだったんですが、今回はリンクでばんばん叩いていたらやられつつもいつの間にかHPを削っていました。
あとは時間の流れ。
エピローグの九年でいきなり老け込むウォルター。
リンちゃん死んでるし……って、墓碑によるとリンちゃんの生年って2062年(うぉおお)?! 没年は2121年。
でエピローグに現れるいきなり(強襲隊いりする)大きな娘!!
アラスカのラストバトル後に生まれた子どもだったとしたら、娘8歳というありえない年齢になるので、やはりあのとき(笑)の子どもか?それでも決して早くはないけど。(リンが36か37のときの子どもなので)
としたらウォルターは、そのままリンと娘を十年ちかくも放っておいたのか?!
(まあ、リンの性格からすると、ウォルターの決着がつくまで存在をなにげに隠していそうだけど……。そしたらそれはそれでウォルターがかわいそうだ(TT)。)
てかいつ結婚したんだ?! 名前がウェンライトのままだったから事実婚かな。
でもちゃんと、ウォルターは最後までリンのこと愛していたんだなぁとじんわり。
妻のお墓の前で旧友たちに語りかけた言葉、「俺の嫁さん、美人だろ」(うわーん)
「やっと終わったよ」って何が終わったのかな。強襲隊選別か(笑)?
人間とその人格に多大な障害を与えるS型デバイスのことかと思ったんですが、「その後…」とあったので、2121年以降のことですよね? S型デバイス関連の事が終わったということならよかったのになぁ。
なんで死んじゃったんだよー、リン~!
ということで、死因が気になります。
戦死などではなくて、ウォルターの元で眠るように死んでいったのなら、いいな。
と話はずれましたが、年表が欲しいです。
さて、ではどれだけ予想が当たったかを確認。
- 「我々には死の概念がない」、これから考えると、「脳だけで生きている人間」「脳すらも機械化した人間」とかそういうのが出てくる?
- →これは見事に当たりましたねぇ。情報としての「モーガン・ベルナルド」が存在する。一個体がやられても他に乗り移るというかなんというか。最後はグレンが勝ちましたが、恐らくそれは「グレンという個体」においてのみなんだろうなあ。
情報の同期が大変そう。モーガンは、あるサーバみたいなものの中に存在してそう。そこからクライアントである個体を動かしてるんでしょう。大本をやっつけない限り消えない存在なのかも。 - でも結局「生身の人間がいいのだ!」という結論になったりする。
- →あんまりそういうわけでもなかったけど、そうなのかな?
- 脳のソフトウェア化を感じる。あるいは、仲良し三人組とかホームとか、偽りの記憶でしかなく、グレンだけ別の国に所属しているのは、どちらかの国がその記憶を使って気を緩ませ、情報を流させようとしているから。
- →脳のソフトウェア化はモーガンさんで実証ずみですが、後は全部外れ。彼らは本当に大切な幼なじみでした(うわーん)。
- 敵味方に別れた仲良し三人組のうち一人は死ぬ。たぶんそれはグレン(ごめんよ)。
- →ウォルター以外全滅しました。エピローグの「四人で…」が泣ける。
- たぶん脱出できないといっているランディ君は生き残るだろう(笑)。
- →そ、そんなにFMは甘くなかった。
- いっそのこと主人公が壮絶な死を迎えるのもありだと思う。戦争の歴史を駆け抜けた物語だから。
- →ヒロインが最後に死んだ……けど、まあ、最後は二人、幸せだったらいいなぁ。
- 年下の上司のプラチナブロンドの美人さんと恋仲になるんだろうね。
- →これは当たり前の話でした。すんません。
- 主人公の顔は非常に好みだ(関係ない)
- →最後の最後まで男前でした。時間の流れを無視した若さだけど、なにげに顔のテクスチャが変わってる。それなりに気を遣っているのが見えてグー。
- 声優さんがセフィロスと一緒だ(もっと関係ない)
- →最後老け込んだウォルターの声、「うわ、ほんとに老けてる!」とびっくりしました。プロってうまい。
へくたー・れいのるずさんは最後までいい人でした。ごめんなさい、ヘクターさん。
いろいろ教えてくれなかったのは、ウォルターがストライクワイバーンズに戻れるように、という気遣いのせいだったのね。
実は、S型デバイスの三人、ヘクター、グレン、そしてリンは最後の最後に「パルス」とかで壮絶な戦死を遂げるものだと信じていたんですが(ヲイ)。パルスはあんまり大活躍しなくてちょと寂しい(?)。
終盤の登場人物、恐らく女っ気がないので追加されたエミール・クラムスコイさんが気に入りませんでした。
たしか3rdに出ている人。
彼女はウォルターのことが好きらしいんですが、年齢がかけ離れすぎているので(だってリンがこのとき50だとしたら、ウォルターは年上なんだから既に50過ぎでしょ? そしてエミールさんは明らかにまだ20代のはず)彼のことを気に入るのは現実的ではないと思ったことと、リンとのやりとりがわざとらしかったです。
全体的に、「ユーザーサービスが行き届いた作品」という印象を受けました。ちょっとこびを売っているかな、と思う場面もありましたし(笑:特に某巨大掲示板的言葉づかいが見えたり、ヒロインがツンデレだったり)
それでも、私にはめちゃくちゃ面白かったです。
友情を信じて、追い続けた一人の男の物語。
それが報われて、本当に良かった、と思うのであります。
というわけで、FM未プレイ者にも「オススメ!」なゲームでした。
しっかし、オススメしてはみたものの、読む人がいらしたのかとっても疑問な青星でした。